MENU

シリコンバレーのベンチャー・キャピタルの中でも、グーグル・ベンチャーズ(GV)はユニークな存在と言える。

まず、グーグル(現アルファベット)の企業内ベンチャー・キャピタルであるという点。シリコンバレーのベンチャー・キャピタルは歴史的には投資専門会社がほとんどで、今でも企業の投資部門は少数派だ。

それでいてGVは、後発でありながら今や有力な存在となり、また自社の事業には無関係な幅広いポートフォリオを持っている点も特異だろう。真に新しく、将来性のある技術やビジネスを見いだそうとしているようだ。

ちなみに、投資分野は消費者向けサービス、生命科学および医療、データおよびAI、企業向け、ロボットと分かれており、ウーバー、スラックなどよく知られたテクノロジー企業もあれば、ブルーボトル・コーヒーといった飲食業、メディウムなどのメディア企業も含まれている。

さて、GVはデザインに力を入れているのも、ユニークな点だ。この場合の「デザイン」というのは、GVのメンバーにデザイナーが数人含まれているということと、デザイン思考の方法論をGV流に改訂して、ポートフォリオ企業の製品開発に役立てているという意味である。この方法論が「デザイン・スプリント」だ。

デザイン・スプリントは、GVのデザイン・パートナーであるジェイク・ナップ氏から始まった。ナップ氏は、もともとグーグル内のデザイナーとしてGメールなどの開発に関わっていた。時間の使い方に意識的な同氏は、社内でデザイン思考による開発を実験してみようと思い立つ。「デザイン思考」あるいは「デザイン・シンキング」と呼ばれる開発方法は、デザイン会社IDEOやスタンフォード大学のd.スクールで確立されたもの。だが、広く受け入れられているその方法を、グーグル流に変える必要を感じたという。

通常のデザイン思考では、対象のユーザーを観察し、問題を特定し、ブレーンストーミングを行い、プロトタイプを作り、ユーザー・テストを行って、また最初に戻る、という流れを繰り返す。ところが、ナップ氏は次の点で改訂の必要性を感じた。

ひとつは、ブレーンストーミング。ナップ氏は、優れたアイデアはみんなの中からではなく、個人から出てくることが多いと見た。そして、みんなでグレーンストーミングをする代わりに、個々人がアイデアを書き出すという作業に変えた。

また、問題を特定する部分は多数決や全員の合意では、特異なアイデア、大胆なアイデアは敬遠されがちになることにも気づいた。そこで、デザイン・スプリントでは、たったひとつのアイデアを選ぶのではなく、紙に書き出されたアイデアの中から、いいと思うところを参加者みんながシールを付けていき、後に絞り込むという方法を採っている。

さらに、全体の時間が違う。デザイン・スプリントでは何と25日で作業を終えるというスピーディーぶりだ。それも、ナップ氏が「締め切りに迫られた方が集中していいアイデアが出る」ということに気づいたからだという。

このようにしてGV流になったデザイン・スプリントは、次のような6段階の流れで行われる。

まず、ユーザーのニーズやテクノロジーの可能性を「理解する」第1段階。ここでは、関係者の話を聞いたり、競合の製品を比べたりする。第2段階は取り組むアプローチを「定義」する。最終的に何を目指すのかを考えるために、ユーザーが利用に慣れていくユーザー・ジャーニーを想定したり、「使いやすい」「楽しい」といったデザインの方針を考えたりする。

第3段階ではいろいろな方法を「探索する」。ここでは、アイデアを短時間にたくさん出したり、反対にひとつのアイデアに集中して取り組んだりといった方法を採りながら、アイデアを生む段階だ。そこからいいアイデアを「選定する」のが次の第4段階。声に出さずに思考したり、特定の視点を想定して、アイデアの有効性を検討したりする。

第5段階で「プロトタイプを作る」。モックアップ、デモ、ビデオなど、いろいろなかたちがあり得るだろう。そして最後の第6段階が、方法の「立証」だ。ユーザー・テスト、関係者からのフィードバックなどでアイデアの有効性を確認するという作業である。

ナップ氏は、「デザイン・スプリント」の方法論で、GVが関わるスタートアップで数々の開発を支援してきた。GVの同僚との共著で『デザイン・スプリント』という本を出した上、その基本についてはウェブでも公開している。

デザイン思考を自分たちに合った方法に変えていくこと、これもまたデザインのひとつの作業と言える。

Noriko Takiguchi
Noriko Takiguchi

こんにちは、mctEricです。

 

624日(金)に開催したConvivial Salon Vol.4『ぼくたちのオフィスのカタチ』についてご紹介します。

Convivial Salonmctの新たな活動として今年の1月から開催しているイベントのひとつで、さまざまな業種、職種で働く人々が、その垣根を越えて集い、対話し、楽しみながら学び合う共創型セミナーです。 

 

 

イベントの前半はコクヨ株式会社WORKSIGHT編集長の山下正太郎氏のレクチャー、イベント後半では参加者同士の対話を通じて、参加者のみなさま自身に自分たちのオフィスのあり方について考えていただきました。

デザインやマネジメント、ワークスペースに関心のある、スタートアップから大きな企業までさまざまな方にご参加いただきました。金曜日の夜にもかかわらず30人以上の盛況ぶりでした。


山下さんには働くことへの価値観の変化、それに伴うワークスペースの変化を焦点に、世界のトレンドを主軸にケーススタディをご紹介いただきました。

コクヨさんは世界で最も有名なワークスペースのためのコンソーシアムであるThe Future of Workのメンバーです。

http://www.fastcompany.com/section/the-future-of-work

このコンソーシアムは日本語にも翻訳されている人気本『ワーク・シフト』の著者として有名なリンダ・グラットン(Lynda Gratton)により創立されました。『ワーク・シフト』の中には「漫然と」未来を迎えるのではなく、未来のドライビングフォースを予測し未来に押しつぶされないように備えるという考え方が書かれています。面白い本なのでまだ読んでいらっしゃらない方はぜひ、読んでみてください。

 

さて、レクチャーで面白かったポイントをまとめてみました。

1.    個人のスペース、インタラクティブなスペース

クリエイティビティを高めるために社員全員を同じ場所に集める企業は、どのように適切な「境界線」のようなもの作るか、どのように「個人の場」を確保するかが課題となります。一方、ICTを使ってリモートで働くことができるようにして社員に自由を与える企業もありますが、その場合は人々がどのように他者と交わることができるか、どのように偶然の出会いを作るか、アイデアの交換をすることができるのかが課題となります。

 

2.    「勤務時間」「趣味の時間」の融合

企業は社員に5%、10%といったワークタイムを自分の時間として使っていい、といったルールを設けるようになりました。最近ではさらに、%を決定せずにタスクや成果のみを規定し、単純に時間の使い方を自由にする企業もあるようです。もしも趣味や仕事以外の能力が長けているのであれば、それに対する投資やサポートも受けられます。

 

 

山下さんのレクチャーの後は、mct主導のワークショップで参加者の皆さんに好きな場所を考えていただき、そこで自分はどのようなモードになっているか、一旦「モード」に置き換えてから理想のスペースデザイン、そこでなりたい「モード」について考えるというワークをしていただきました(e.g. ソファの上でじっとしている  "relaxing"、趣味のことをしている  "集中" 、"鍛錬")モードという上位概念に置き換えることで、単なるスペースの改善ではなく、働き方、人々の経験を変えるアイデアがたくさん出されました。


今回のコンビビでは働き方がどのように変化していくか、そしてそれに対してどのように私たちは備えるべきなのかを考える良い機会になったように思えます。規定された状況に自分を当てはめるのではなく、問題をリフレームし新たなソリューションを考える時なのではないでしょうか。

Eric FREY
Eric FREY

株式会社mct
エスノグラファー/ストラテジスト

こんにちは、mctの増田です。


突然ですが、下記からどんなサービスを連想しますか?


20160715-DMN-mct-IoT_01.jpg


言うまでもなく、「ポケモンGO」ですね。


このような世界を今から15年も前に考えていた森川博之氏(東京大学先端科学技術研究センター教授)を迎えた「ビジネスデザインプログラム」シリーズの第2回ワークショップ。「IoT」をテーマにした非常に濃密な6時間で、私も運営者としてだけでなく、参加者として体験してきました。

当日の熱気をどこまでお伝えできるかわかりませんが、ダイジェストでご紹介します。



「モノのインターネット」と訳されることの多い「IoT」ですが、その本質はわかるようで実はよくわからない、という方も多いのではないでしょうか? 

IoTの本質は「アナログのプロセスを見つけて、デジタル化する」こと。そう結論付けたうえで、森川教授は圧倒的な知見と豊富な事例で参加者のイマジネーションを刺激します。


個人的にはスペインのコメディー劇場の事例が秀逸でした。彼らが着目した「アナログのプロセス」は、「観客の笑いの量」。確かにこれまで全くデジタル化されてこなかった領域です。 

作ったシステムはシンプル(だけどよくできている)で、

 ①入場料は無料

 ②劇場で「笑った分だけ」料金を支払う(=Pay Per Laugh

 ③笑ったかどうかは各席に設置の「顔認識システム」で判定

というもの。



payperlaugh.png
引用:Teatreneu

導入後、客離れが深刻だった劇場の観客数が
35%もアップしたそうです。
 

ここで森川教授が称賛していたのは、発想豊かなアイデアもさることながら、「とにかくやってみる」勇気ある実行力でした。上記の事例は結果的に成功をおさめましたが、もし、みなさんが劇場の支配人だったらどうでしょう?「たしかに斬新だけど、笑いに来ているお客に『笑ったら請求』というのはちょっと...」と、リスクの大きさに目が向き、アイデアを実行しない人も多いのではないでしょうか。

では、リスクを取ってでも実行に移している人・企業は、何をしているのか?森川教授からは数え切れないほどたくさんの示唆があったのですが、ここではキーワードを3つだけご紹介します。(レクチャー全体を網羅した当日の議事録をご希望の方は、本記事最下部に記載の担当者までご一報ください)

 

■"エコシステム"をつくる

IoTでは「つなぐ」という視点がとても重要です。アフリカの水飲み場にいろいろな動物が集まってくるように、「いろいろなモノがつながって価値を生むシステム」を意図的に作り出せないでしょうか?

2年前にグーグルがサーモスタット(家屋の温度調節をする機器)を作るNest社を32億ドル(!)で買収したことが話題になりましたが、これは「サーモスタット」というモノ単体ではなく、「サーモスタットをハブとして、家中のデータを集められる」ことに高い価値をつけているのだと思われます。

しかも彼らは「Nestと一緒に働こう(works with nest)」というメッセージを掲げ、社外の開発者に対して積極的に情報を開示しています。既にメルセデスベンツ(自動車)やワールプール(洗濯機)など、50社以上が共同参画に意思を表明しているようです。(確かに、自動車や洗濯機がサーモスタットとつながると面白いことになりそうです...。まさに"エコシステム"ですね)

「モノ」で解決するという発想を「モノを起点に生み出せそうなつながり」という枠まで押し広げると、思わぬビジネスチャンスが見えてくるかもしれません。

 

■"海兵隊"をつくる

これは主に経営層の方向けのメッセージかもしれませんが、IoTで成功している企業は、組織の中に「海兵隊」をつくっているケースが多いそうです。

「海兵隊」は、陸海空がコンパクトにまとめられており、かつ、死亡率が最も高い部隊です。死ぬことに存在価値があると言ってもいいかもしれません。

一番初めに敵陣に乗り込む彼らは、いわば「切り込み隊長」です。未知の可能性を秘めた市場の開拓に果敢に挑む姿はまぶしく、「何かやってくれそう」という期待を強く感じさせます。ちなみに、「目の前が絶壁であっても踏み出すタイプ」の方が向いているそうです。(笑)

スタートアップではない企業において、「死んでもいい(=失敗してもいい)」という考え方は現実的ではない気もしますが、一つのヒントが金融業界にあります。

森川教授いわく、変革に積極的なある銀行は、ITの予算をCTBChange the bank、銀行変革のための予算)」とRTBRun the bank、銀行維持のための予算)」の2つにはっきりと分けているそうです。

CTB」を担当する部隊は、目の前の数字をシビアに問われることはありません。彼ら海兵隊が「敵(=競合)」と考えているのは、銀行ではなく、amazonGoogleだそうです。とにかくチャレンジを繰り返すことが彼らのミッション。そのことをトップが明言しています。

 (失礼ながら)保守的なイメージの強い金融業界において、上記のような先進的な取り組みが進んでいるという事実は、みなさまにとって、何かしらの刺激になるのではないでしょうか?

 

■"強い想い(パッション)"を持つ

森川教授の口からは「強い想い」という言葉が何度も飛び出しました。IoTに限った話ではないですが、パッションがなければ始まりません。先ほどご紹介した「CTB」部隊にしても、単に組織を作るだけではダメで、「強い想いを持っている人をアサインする」ことがポイントなのです。

「強い想い」の例として紹介されていたのですが、みなさんは「Gatebox」という現在開発中の製品をご存知でしょうか?

20160715-DMN-mct-IoT_02.jpg


「ホログラムのキャラとコミュニケーションできる」こちらのプロダクトは、画像認識や音声認識技術でユーザーの意図を理解し、理想の女性キャラが家電のスイッチを入れてくれたり、朝起こしてくれたりするそう。

 

この話で私が衝撃を受けたのは、開発チームの本気度合いです。彼らは「一生かけて理想の嫁さんを作り続ける」というミッションを掲げ、「もし結婚したら開発チームから抜け、退職する」とまで宣言しているとのこと。

IoT」と言うと「技術」の話が中心になってしまうかもしれませんが、重要なのは「人(の想い)」である、ということに改めて気づかされました。

 

以上、"エコシステム" "海兵隊" "強い想い"という3つのキーワードをご紹介しました。今回お伝えし切れなかった内容にご興味がある方や、実際のPJIoTに取り組みたい想いを強くした方は、下記の担当者までお気軽にご連絡ください。

 

===============================================

 

次回のDMN「ビジネスデザインプログラム」は916日(金)に開催されます。

講師に「一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授である名和高司氏」をお招きし、

「グローバル戦略」をテーマにしたワークショップを開催します。

 

DMN:ビジネスモデルプログラム「グローバル戦略」

http://dmn-program.jp/program/bd_160916.html

●日時:2016916日(金) 10-17

●場所:(株)大伸社 東京本社 ワークショップスペース[chika

●講師:名和高司氏 一橋大学大学院 国際企業戦略研究科教授

 

お得なDMN年間メンバーシップもございます。

http://www.dmn-program.jp/index.html#member_unit

===============================================

 

▼お問い合わせ

株式会社mct tel: 03-3405-5135

東京 担当:大長(おおなが)ohnaga@mctinc.jp

大阪 担当:藤田(ふじた)fujita@mctinc.jp





Nobuo Masuda
Nobuo Masuda

株式会社mct
エスノグラファー/エクスペリエンスデザイナー

こんにちは、mctの大長です。

 

今年からmctが事務局を担当している

DMN(ダイヤモンドデザインマネジメントネットワーク機構)」。

今回は、517日に実施した「ビジネスデザインプログラム」シリーズの第1回ワークショップ「サービス・マネジメント(講師:一橋大学大学院 藤川佳則 准教授)」をダイジェストでご紹介します。



-------------------------


第一回テーマ

『サービスマネジメント』


 講師 藤川 佳則 氏/一橋大学大学院国際企業戦略研究科


           准教授 & MBA Program, Academic Affairs担当


 


「脱コモディティ化」「製造業のサービス化」「モノのインターネット化」などの現象に見られるように、サービス企業にとっても、モノづくり企業にとっても、従来の産業の垣根を超えて新しい価値づくりが活発化しています。当ワークショップでは、これらの現象の根底にある考え方、課題、あらたな機会について次の3つのステップで議論していきました。



ステップ1. TREND | いま地球規模で起きている3つのキーワード



SHIFT(世界経済はサービス化へ)


世界経済がサービスにシフトしています。例えばギャップマインダーを使えば、世界中の国の産業人口が何十年、何百年という単位で一次産業から二次産業、二次産業から三次産業へと移行していく様子を見ることができます。経済のサービス化は、先進国に限った現象ではなく、地球規模で起きている大きなトレンドです。


ohnaga_1.png


MELT(産業の垣根は曖昧に)

製造業/サービス業といった区分が実態に合わなくなってきています。アップルにはiPhoneという製品がありますが、その上で動くiTunesがあり、アップルストアで小売もしています。IBMや富士通など統計上は製造業ですが、活動の中心はサービスです。 自動車産業のバリューチェーンは自動車を販売まででしたが、電気自動車になると納車した後の電力の使い方や蓄電のしかたのサポートなど、販売後もバリューチェーンがつながっていきます。


TILT(未来は北緯31度の北から南へ)

世界経済の重心が北半球から南半球に移ります。2022年、世界の中間層の人口が貧困層を上回り、2030年には50億人が中間層になります。富が北から南へ動き、雇用が北から南へ動きます。これらの変化が、南側で生まれた企業によってもたらされます。南側の企業はあらゆる側面から北側の企業に挑んできます。世界経済において北側の企業はもはや支配的な存在ではなくなります。


ohnaga_2.png


ステップ2. PERSPECTIVE | 「価値づくり」のむかし・いま・みらい


グッドドミナントロジックからサービスドミナントロジック、

そしてマルチサイドプラットフォームへ

かつて、モノとサービスは別物で、価値を作るのは企業、顧客は対価を払って価値を消費する存在という考え方=グッドドミナントロジックが一般的でした。企業は、顧客に手渡すまでに高い価値を作り込み、交換価値を最大化することを追求してきました。

サービスドミナントロジックでは、モノもサービスもサービスとして捉え、お客さまが消費行動を取っているときに価値が生まれ、お客さまも価値を生成する役割を果たしていると考えます。この考え方では、企業は、お客さま自身が持つ資源を組織の中に入れて、それらを組み合わせて使用価値を最大化することを目指します。

サービスドミナントロジックの基本概念は価値共創です。価値共創の相手を複数にしていくとマルチサイドプラットフォーム(複数の顧客グループ間のインタラクションを可能にすることによって価値創造を図る技術や製品、サービス)になります。

いまや世界473都市にまで広がっているUber。文字認証によるセキュリティシステムを使って、世界中の語学ニーズと翻訳ニーズを同時解決するduoLingo10億人の飢餓と肥満を同時解決するTable for Two。きれいな水を飲めない10億人に浄水器を届けるLifeStrawSHIFTMELTTILTというトレンドを捉えたマルチサイドプラットフォーム型のビジネスが次々と出てきています。


ohnaga_3.png



ステップ3. DISCUSSION | 皆さんへの問い

価値創造 (Value Creation) と 価値獲得 (Value Capture)

事業のサービス化を目指すとき、企業は「どの価値の最大化を目指すのか?(価値創造)と「何に課金するのか?(価値獲得)」の2つの次元で交換価値から使用価値への移行を検討することになります。

コマツは、製品そのものの交換価値の最大化を追求する建設機械メーカーでしたが、KOMTLAXによって使用価値を創造し、その価値を従来通り製品に課金する(交換価値)ことを選択し、事業を拡大しました。そして鉱山採掘事業では、価値獲得をコンサルティングサービスとして課金する(使用価値)展開をはじめています。

価値創造と価値獲得を分けて考えることは、特にマルチサイドプラットフォームを検討する上でとても重要になります。

ohnaga_new.png

いま起きつつある未来

一台も車両を持たない世界最大のタクシー会社Uber、自社ではコンテンツを一切作成しない世界一のメディア企業Facebook、一部屋も不動産を所有しない世界最大の宿泊提供業者Airbnb。自社が資源を保有して、そこから価値を創造していくという私たちが当たり前だと思ってきたことが過去のものになりつつあります。

さまざまな分野で多種多彩な現象が起き、表面上はそれぞれ全然違って見えますが、その背後には、同じような価値作りの論理があるかもしれません。そこにサービス・マネジメントの観点から、どういう視点を提供できるだろうかというのが私たちのチャレンジでもあります。


-------------------------

 

以上、藤川准教授による濃厚な6時間をダイジェストでご紹介しました。これをお読みいただくだけでも、これからのビジネスデザインのエッセンスがご理解いただけたのではないでしょうか。

次回のDMN「ビジネスデザインプログラム」は715日(金)に開催されます。講師に「東京大学先端科学技術研究センター 森川 博 教授」をお招きし、「IoT」をテーマにしたワークショップを開催します。

IoTはサービスマネジメントとも密接な関係があります。

これからのビジネスをデザインするにあたり、oTにどのようなスタンスで取り組むのがよいのでしょうか?

IoTによる企業の競争力や価値のポイントは、どこにあるのでしょうか?

ぜひこの機会をご活用いただき、貴社のIoT推進の一助としてください。


DMN:ビジネスモデルプログラム「IoT

http://www.dmn-program.jp/program/bd_160715.html

●日時:2016715日(金) 10-17

●場所:ミッドタウンインターナショナル・デザイン・リエゾンセンター

●講師:森川博之氏 東京大学先端科学技術研究センター教授

 

DMN:年間メンバーシップ

ビジネスモデルプログラム「IoT」への参加も含んだ、お得なDMN年間メンバーシップもございます。

http://www.dmn-program.jp/index.html#member_unit


追伸

今回お世話になった藤川准教授とは、弊社が展開する「ZMET共同プロジェクト」でもご一緒させていただきます。「ZMET共同プロジェクト」は、心理学や脳科学を用いて生活者の深層心理を分析するメソッド「ZMET法」を、共通のテーマを設けて複数の企業で共同で実施する、今年で二回目のプロジェクトです。

今年のテーマは「シンプル」。普段のビジネスにおいても何気なく使っている「シンプル」というキーワードの背後に隠れた、さまざまなインサイトを探求します。

藤川准教授にはキックオフイベントでのレクチャーをご担当いただきます。イベントは、今夏に東京にて開催されますが、前半は、どなたでも参加いただけるオープンイベントとして開催されますので、参加ご希望の方は、下記までお問い合わせください。

 

▼お問い合わせ

株式会社mct tel: 03-3405-5135

東京 担当:大長(おおなが)ohnaga@mctinc.jp

大阪 担当:藤田(ふじた)fujita@mctinc.jp


Nobuyuki Ohnaga
Nobuyuki Ohnaga

株式会社mct
プロジェクトデザイナー/イノベーションコンサルタント

シリコンバレーで有名なデザイナーのひとりが、ジョン前田氏だ。前田氏は、もともとソフトウェア・エンジニアの教育を受けたが、後にグラフィック・デザイナーになり、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボの教授を務めた後、ロード・アイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)の学長に就任した。ここまでは、デザイナーとしても輝かしい職歴だが、その後の転身には誰もが驚いた。シリコンバレーのベンチャー・キャピタリストになったのだ。

2014年に、同氏がシリコンバレーでも有数のベンチャー・キャピタル会社として知られるKPCB(クライナー・パーキンズ・コーフィールド・バイヤーズ)のデザイナー・パートナーとして就任したことは、テクノロジー業界でのデザインの重要性が無視できなくなってきたことを示していた。すでにテクノロジー企業としてアップルはデザインの面でも抜き出ていたが、それ以外でもスマートフォンのデザイン性、アプリの美しさや使いやすさなど、デザインがテクノロジーの中で占める度合いが非常に大きくなっていたのだ。

KPCBに移った後、前田氏はポートフォリオ企業にデザインに関するアドバイスを行ったり、デザイナーで起業できる人材を探したりといった仕事を行ってきたが、同時にあるプロジェクトをスタートさせた。それは『Design in Tech』というリサーチである。『Design in Tech』は、現在のテクノロジー業界におけるデザインの重要性や意味を、デザイナーの数、デザイン会社の買収数、デザイナーが創業したスタートアップ数などで示し、さらに「デザイン」のあり方がどう変化しているのか、それによってデザイン教育はどう変化すべきかを分析する。

昨年第1回レポートが発表され、先頃第2回の2016年度版が公開されている。そこからいくつかのポイントを拾ってみよう。まず、デザイナーはテクノロジー企業に多く雇われるだけではなく、前田氏自身のようにベンチャー・キャピタル会社でデザイン・パートナーや投資パートナーとして在籍するケースが多くなった。すでに30人を超えるデザイナーが投資側にいる。

従来のデザインと現在のデザインの違いについては、こんな比較を行っている。対象とするユーザー(従来は数100万人vs.現在は最大数億人)、製品完成までの時間(数週間から数ヶ月vs.インターネットで断続的に改訂)、完璧度(達成できるvs.常に進化し続ける)、デザイナーの自信度(絶対的vs.高いがテストやリサーチの分析にオープンに対処する)などだ。デザイナーとして求められる資質が大きく変化しているのが、これでわかる。

デザイナーにとって、プログラミングを理解するのが必要になったということも、デザイナーへのアンケートの結果から伝えている。370人のデザイナーに尋ねたところ、「必要」と答えたのは93.5%にも上った。プログラミングができることで、ただの上辺だけのデザインではなく、ユーザー・インターフェイスやエクスペリエンスといった深みのある部分までデザインの考え方を適用することができるからだ。

また、従来のデザインは、デザイン思考としてツールになった後、今や無数のユーザーにリアルタイムでデザインを行う「コンピューテーショナル・デザイン」が登場しているという。さらに、デザインはユーザーに対するシンパシー(共感)や多様性を内包したものが評価されるという。これも、これまでの「カッコいいデザイン」といった単純な軸が通用しなくなることを示唆するものと言える。

同じ「デザイン」ということばが使われているが、その中味や方法論、位置づけは急速に変化している。デザイナーもそこに敏感でなければ、ユーザーに通じるデザインができなくなっているのだ。『Design in Tech』レポートのメッセージは無視できない。

design-in-tech-report-2016-16-1024.jpg


design-in-tech-report-2016-43-1024.jpg

引用:http://www.kpcb.com/blog/design-in-tech-report-2016

Noriko Takiguchi
Noriko Takiguchi

こんにちは、mctの上陸です。

5月16日(月)に開催したConvivial Salon Vol.3『リサーチって誰のもの?~リサーチの未来~』についてご紹介します。

Convivial Salonはmctの新たな活動として今年の1月から開催しているイベントのひとつで、さまざまな業種、職種で働く人々が、その垣根を越えて集い、対話し、楽しみながら学び合おうという趣旨の共創型セミナーです。 

IMG_6162.JPG


昨今の市場環境下では、リサーチの果たす役割にも変化が求められています。

変わりゆく環境の中で、リサーチはどうあるべきなのでしょうか。

今回は、生活者研究、脳科学など様々な立場からリサーチ領域で活躍する3名のプロフェッショナルをお招きし、参加者の方々と「リサーチ」を深く、ともすれば哲学的に考察を深めました。


◆キリン株式会社 キリン食生活文化研究所所長/太田恵理子氏

◆ライオン株式会社 生活者行動研究所 生活者研究担当部長/原憲子氏

◆株式会社GFL CEO代表取締役/田邊学司氏

 

(ゲストスピーカーの自己紹介) 

◆田邊学司氏:株式会社GFL

「なんとなく」決めて買うの「なんとなく」とはなにかを考え続け、「いい質問があっていい答えが生まれる」ということに気づき、それがファンケート(GFLの提供する非言語マーケティングの知見を応用したアンケートサービス)をつくることにつながった。

写真 H28-05-16 19 24 07.jpg 


◆原憲子氏:ライオン株式会社 生活者行動研究所

2010年よりライオンの中での総合生活研究所を目指して活動。「お客様が何を考え、どう行動しているか?」今のお客様にしかわからないことだが、「あいまいなもの」を分解して、「少し先まで含めて生活者の意識の見える化」に取り組んでいる。

 

◆太田恵理子氏:キリン株式会社 キリン食生活文化研究所所長

生活者と社会の変化に関する研究を行われ、お客様に様々なアプローチする日々。Web調査、ソーシャルリスニング、MROCなどネットを使った手法を早い段階から試し、成果も得られたが、10代若年層のインサイトに切り込んでいるのかどうか、まだ自信がない。今日は参加者のみなさんとそこのところを語り合いたい。

 

今回のサロンは、ゲストスピーカーの方から1つずつテーマが出され、参加者が、お酒や軽食を片手にディスカッションするという形で進行していきました。



■1stテーマ: 「男子高校生のインサイトを掴むには何を調べればいいか?」 太田氏

参加者からは「先生やお母さん、女子学生もインタビュー対象者としてとらえ、多角的に男子高校生をとらえる」といったアイデアから、「男子なんて子供のまま、中学生と大学生にインタビューし過去と未来から迫る」、「コンビニや自販機の前で、買った直後にいきなりインタビューをする」といったものまで様々なアイデアが出てきました。

田邊氏からは「フリーになって、自分の息子2人と接する機会が増えた。"こんな生き物なのか!"と思い、やっぱり"生で見ないとダメだな"と改めて思った」など含蓄のあるコメントをいただきました。


■2ndテーマ: 「『生活者研究』とは、生活者の何を、どうやって知るべきか?」 原氏

深いテーマに、みなさん難しい顔をされながらも楽しくディスカッション。「今のことだけ切り取っても、結局は時代の流れに流されていってしまうので、未来に起こることを予測しとらえていくべき」といった意見や、「あくまで未来を予測する材料をとして今の情報をそろえる(知る)べき」という意見が出されました。

太田氏からは「答えはお客様の中にある。それをどうやって掘り出すか?ということが大事かと思う。ディスカッションを聞かせてもらって、やはり"お客様から始まっている"と改めて思った」、田邊氏からは「生活者という捉え方が難しい。生活者と言ってしまった時点で、思い込みや勝手なルールができてしまうのでは?生活者の内、外という視点を持つことが重要では?」と、それぞれコメントいただきました。


■3rdテーマ: 「リサーチは誰のもの? 何のためのもの?」 田邊氏

参加者からは「自分のもの。自分が確信をもつためのもの」といった意見や、「安心材料を得るためのものではなく、他部門の方にインスピレーションを与えるべきもの」、「誰のもでもない。活動をする企業、意見が言えるユーザー、みんなのもの」といった意見が出されました。

田邊氏からは「簡単に答えが出るものではない。皆さんにはモヤモヤした気持ちで帰ってほしい」というコメントがありました。

 


締めの言葉として、原氏と太田氏から以下のようなコメントをいただきました。

原氏 「生活者行動研究所の目的は、もともとユーザーをしっかり見ていこうということだったのに、いつの間にか"生活者"として丸めて他部署に伝えることが目的になっていないか?初心忘るべからず、と改めて思えて良かった」

太田氏 「リサーチには新しい発見を伴う。リサーチを行う人、受けてもらう人が対峙するのではなく、それぞれにとって自分自身を見直す発見があり、"いいこと"が起こっていけば良いと思う」



 

参加者の皆さんの熱気あるディスカッションで、盛り上がった2時間半でした。

当日、mctのメンバーも各テーブルのディスカッションに参加させていただきましたが、皆さんの発言から感じられたことは、「従来のリサーチの枠組みでは解決できない問題」が増えていて、「突破できないジレンマ」を感じておられるのかな?ということでした。

第1回目にお招きした早稲田大学ビジネススクール・樋原伸彦准教授のテーマ『オープンイノベーション』、第2回目にお招きした慶応大学経済学部の武山政直教授のテーマであった『サービスデザイン』においても感じたことでしたが、「突破できないジレンマ」の解決策の一つとして、Convivial Salonの企画背景にもある[Co-Creation/共創]への期待が、高まっているようにも思えました。

ユーザーを"顧客経験のエキスパート"として招き入れ、参加者全員の創造力を使って課題発見・課題解決に向き合う手法によって、参加者の皆さんのジレンマも吹き飛んでしまうのでは? そのような機運を感じずにはいられない夜でした。



yonemoto_3.jpg.png


Convivial Salonでは今後も経営やマーケティング、デザインといった様々な分野のテーマを取り上げながら定期的に開催していく予定です。

○ビジネステーマについて熱く議論したい人

○自社の課題解決の答えを社外に求める人

○お酒を酌み交わしながら気軽に交流したい人

○終業後の時間を有意義に使いたいという人

○学習や成長の機会を求める人

そういった方々のご参加をお待ちしております。ぜひ今後もご期待ください。

Shuichi Jouriku
Shuichi Jouriku

株式会社mct
エクスペリエンスデザイナー/エスノグラファー

"ユーザー中心"とは一体どのようなことなのか?

"ユーザーを製品・サービスに慣れさせる"のではなく、"ユーザーの実際の行動に合わせたものを作るユーザー中心デザイン"は、それがどの分野のデザイナーであろうと、またそれが製品であろうとサービスであろうと可能です。

ユーザー中心デザインを進めるには3つの段階があり、それらの段階を通じて、ユーザーとデザイナーとの距離は縮まっていきます。デザイナーは、やりやすいレベルを選択してそれを進めることもできますし、もしくはレベル1から順に進めていくこともできます。


レベル1 :人々から学ぶ
レベル2 :人々と共感する
レベル3 :コ・デザインする


レベル1: 人々から学ぶ

1.jpgのサムネール画像人々の発言、行動により注意を向けることで、デザイナ-は"ユーザー中心"となることができます。このレベルでは、デザイナーは少し距離を置いて人々(ユーザー)を観察していきます。
人々から学ぶには、ユーザーに語らせ、話している内容に耳を傾けることが必要です。この時、実際に顔を合わせて会話するほうがよいでしょう。会話を進めるための準備として、いくつか質問を用意しておき、より自然な状態(日常に近い状態)で会話を進めていくことも重要です。

また、彼らの日常生活の中の、ありのままの行動を観察します。彼らの生活を邪魔しないように、興味深かったことや驚いたことをノートなどに記録しましょう。注意深く観察していくうちに、インサイトや新たな機会に気づき始めます。

例えば、自社の製品やサービスについてユーザーから学びたいのであれば、それらをテーマにした話をしてみるのがよいでしょう。買い物の様子を観察したり、製品を実際に使っている様子を観察するのもよいです。彼らの日常生活の中で対話ができる機会があるのであれば、発言からも行動からも学びを得ることができます。


レベル 2: 人々と共感する
2.jpgのサムネール画像人と共感することでさらに"ユーザー中心"になることができます。気持ちをシェアしたり、理解するといった共感によって、実際の生活や経験により近づくことができ、将来求められている製品やサービスのデザインにつなげられるようになります。共感するためには、人を観察したり話をするだけでは不十分です。まず必要なのは、ユーザーの視点に立つためにデザイナー自身の視点から抜け出すことです。その上で自身の視点に戻るといったステップを踏むと、より深い学びを得ることができます(Kouprie and Sleeswijk Visser, 2009)。これを実行するには(自分の視点から抜け出す)勇気、自信が必要になります。

共感のできるデザイナーになるためには、観察だけにとどまらず、ユーザーのライフスタイルや環境に入りこむことがよい経験になります。これによって、新しいライフスタイルの発見にもつながります。また他のアプローチとして、ユーザーの生活を演じ、ロールプレイのテクニックを利用することもできます。バーチャルリアリティーはまだあまり一般的ではありませんが、共感するための新しい方法としては極めて有望です。その代表的な例がTED Talkでの Chris Milkのプレゼンテーション「How virtual reality can create the ultimate empathy machine」で語られています。


レベル3: コ・デザインする
3.jpgのサムネール画像人を招き、パートナーとして一緒にデザインや開発のプロセスを踏むと、より"ユーザー中心"になることができます。このレベルでのユーザーはデザインプロセスにおける参加者として扱います。ここでは参加者とデザイナーとの関係はとても近いので、人間中心のアプローチという べきかもしれません。ユーザー中心のデザインの中でもコ・デザインは特異な手段といえます。というのも、ユーザーの過去、現在、未来の経験を語るうえで、彼らがエキスパートであることをデザイナーとしてしっかりと認識しておかなければならないからです。

共創のプロセスにおいては、参加者が意欲をもって相互的かつ反復的に作る(make)、語る(tell)、演じる(enact)といったプロセスを回していくことが必要です。たとえば、ユーザーを招き、コラージュや、ベルクロモデリングなどの創造的なツールを利用して、未来の経験を視覚化してもらう(make)、そして、彼らにそれをどのように利用するのかを語ってもらう(tell)、さらには、未来のシナリオを設定し、それがどのように彼らの生活の中で使われるのかを演じてもらう(enact)、というようにプロセスを進めることができます。
※このプロセスの詳細は「Sanders and Stappers, 2012」(http://studiolab.ide.tudelft.nl/convivialtoolbox/)を参照し、人とのコ・デザインについての考察に役立ててください。


参照
Kouprie, M. and Sleeswijk Visser, F. (2009) A framework for empathy in design: stepping into and out of the user's life, Journal of Engineering Design, Vol. 20, No. 5, October 2009, 437-448

Milk, C. How virtual reality can create the ultimate empathy machine, TED Talk, April 22, 2015. https://www.youtube.com/watch?v=iXHil1TPxvA

Sanders, E.B.-N. and Stappers, P.J. (2012) Convivial Toolbox: Generative Research for the Front End of Design, BIS Publishers, Amsterdam.

Liz Sanders
Liz Sanders

MakeTools
代表

30 May

What does being "user-centered" mean?
User-centered designers are able to design whatever they are designing, whether that is a product or a service, around how users can actually use the product/service, rather than forcing the people to change their behavior to accommodate the product/service.

There are three levels from which designers can approach user-centered designing. The designer and user become closer to each other as one progresses through the levels. Designers might choose to focus on the level on which they feel most comfortable. Or they might choose to start at Level 1 and then advance to Levels 2 and 3 as they gain experience.

1. Learning from people.
2. Empathy with people
3. Co-designing with people.


Level 1: Learning from people.


1.jpg A designer can become user-centered by paying more attention to what people say and do. In Level 1 the people (who might become the users of the product or service) are viewed by the designer from a distance.

To learn from people, listen to what people say. Let them do the talking. The best way to do this is in a face-to face conversation. Have a few questions ready to get the conversation started and then let the conversation go in the way that is the most natural.

Observe what people do as they go about their daily lives. You do not want to intrude on their lives so just watch and make notes later about what was interesting or surprising. Once you start observing carefully, you will notice all kinds of insights and opportunities.

For example, if you are interested in learning from people about your products or services, have conversations with them about your products or services. Or watch them as they shop for and/or use your products and services. If you have conversations with people in their natural environments you will be able to learn from what they say and do simultaneously.


Level 2: Empathy with people.

2.jpg A designer can become more user-centered by learning to empathize with people, i.e., understand them and share their feelings. Empathic designers attempt to get closer to the lives and experiences of their future users in order to design products or services that better meet their needs. Design empathy goes beyond watching people in their natural environments and talking to them. Empathy requires that the designer first step out of their own perspective in order to enter into the perspective of the user. Then the designer must return to his or her own perspective, having been influenced by the stepping into and out of the user's life (Kouprie and Sleeswijk Visser, 2009). It takes courage and confidence to do this.

Some activities that designers can practice to become empathic designers include immersing themselves in the user's environment and lifestyle. This goes beyond observing and becomes a new way of living, at least for a while. Another approach is to use role-playing techniques such as acting out the user's life. The use of Virtual Reality, although still out of reach for many, holds great promise for new ways to empathize with people. A good example of this is the TED Talk by Chris Milk called How virtual reality can create the ultimate empathy machine‬.


Level 3: Co-designing with people.

3.jpg

A designer can become more user-centered by inviting people to partner with him or her in the design and development process. In Level 3, people (who might become the users of the product or service) are seen as participants in the design process. Their relationship to the designer is very close. In fact, I would say that this is better described as a human-centered approach. Co-designing with people is the most extreme form of user-centered design as it means that the designer must recognize that others are the experts when it comes to their experiences of the past, present and the future.

In designing with people you will need to engage them in an iterative and interactive exploration of making, telling and enacting. For example, you might invite users to visualize their ideas for future experience by using generative tools for making such as image collaging or Velcro-modeling. Then you would ask them to share what they have made by telling how they would use it. Or you might ask them to demonstrate how it would fit into their lives by using it as a prop when enacting future scenarios. The interested reader will want to refer to Sanders and Stappers, 2012(http://studiolab.ide.tudelft.nl/convivialtoolbox/ )for more ideas about co-designing with people.


References
Kouprie, M. and Sleeswijk Visser, F. (2009) A framework for empathy in design: stepping into and out of the user's life, Journal of Engineering Design, Vol. 20, No. 5, October 2009, 437-448

Milk, C. How virtual reality can create the ultimate empathy machine, TED Talk, April 22, 2015. https://www.youtube.com/watch?v=iXHil1TPxvA

Sanders, E.B.-N. and Stappers, P.J. (2012) Convivial Toolbox: Generative Research for the Front End of Design, BIS Publishers, Amsterdam.

Liz Sanders
Liz Sanders

MakeTools
代表

こんにちは、mctの佐藤です。

先日、510日、Forrester Research社のRyan Hart氏よりmctスタッフがプライベートレクチャーを受けました。テーマは3つ。「カスタマーエクスペリエンスと感情」「未来を記述するカスタマージャーニー」「デザイン思考のこれから」について。本レポートでは、一つ目のテーマを中心にご紹介したいと思います。

カスタマーエクスペリエンス。日本語で言えば顧客経験ということですが、Forrester Research社の考える3大要素、「機能」「使い勝手」「感情」の中で、顧客のロイヤルティを高めるために最も影響度の高いものが「感情」。「感情」面で成功している企業はブランドチェンジされるリスクが1/2、アップセルの確率が5倍、他者にお勧めしてくれる確率が2倍と統計が出ているそうです。レクチャーでは、そのような「感情」面で成功するためのティップスを具体的に教わりました。

Forrester_160510.jpegのサムネール画像

感情を取り扱う上で留意すべきポイントが3つ語られます。

 A:ポジティブな経験より、ネガティブな経験のほうが記憶に残る

 B:記憶に残るのは途中の盛り上がりと、最後の経験のみ

 C:人は、自分の感情を十分に認知・説明できない

 ※AとBは行動経済学系のお話、Cは潜在意識系のお話ですね(佐藤・注)。

 

A(ポジティブな経験より、ネガティブな経験のほうが記憶に残る)ですが、これは、各ステップごとにしっかりとユーザの行動をデザインし、いずれの瞬間にも悪い体験をさせないよう慎重になることが重要と説明されました。特に、顧客の一覧の行動の流れ(=カスタマージャーニー)を顧客の感情も含んだ状態で作成し、施策を考えることが大切。英語では"Emotional Journey"と語られていました。

デルタ航空では欠航の告知メール配布の直後に顧客から電話がかかってきた場合、「ご用件は何ですか?」ではなく、「欠航のお知らせの件でしょうか?」と対応をスタートするようです。同社のアトランタ・オペレーションセンターでは、メカニックスタッフと(空港で取り残された顧客向けの)ホテル予約担当者の席が近く、組織的に顧客へのシームレスな連携対応を実現しているようです。

 

B(記憶に残るのは途中の盛り上がりと、最後の経験のみ)は、悪い経験を経た顧客には、その後に素敵な体験を提供する、という対処法があるようです。上述のデルタ航空では窓側でも通路側でもない"真ん中の席"に特定のクラス以上の顧客が座った場合、翌週の月曜日にお詫びとして同顧客に500ポイント追加進呈するそうです。"Middle Seat Mondays"というプログラム名らしいですが、満足いただけない体験をさせてしまった顧客には最後の最後に良い記憶を残す。

また、スウェーデンでのお話。献血した血液が使用された際、献血した本人に、どのような患者に自分の血が使われたかが連絡されるプログラムもあるようです。この場合も、献血という一連の経験の最後に、ポジティブに心が動かされる経験が配置されている。

 

C(人は、自分の感情を知覚・説明できない)に関しては、mctがよくご提供している絵や写真を使った投影法系インタビュー手法や、広い意味でのニューロマーケティング系の手法が紹介されていました。本人が語れない感情は、少し手の込んだ手段で聞き出す必要があるということ。

 

以上、カスタマーエクスペリエンスにおいて感情面をポジティブに持っていきたい場合、まずはA~Cを押さえることからスタートするということで、非常に分かりやすい整理がなされたと思います。貴社においてもこのような規律あるプロセスを導入し、むやみやたらなアイデア出し・施策立案等を行わない、効率的なプロジェクト進行を図られてはいかがでしょうか。

 

最後に、同日に話があった他のテーマについても簡単にお話します。「未来を記述するカスタマージャーニー」は、現在のカスタマージャーニーを描いてからアイデアを追加し、将来的な理想のカスタマージャーニーを描いていく手法。「デザイン思考のこれから」については、最近1年ほどのデザイン思考のトレンドが語られ、感情を取り扱うテクノロジーの向上による影響などが紹介されていました。

以上、詳しくお知りになりたい方は、どうぞ、mctのほうまでお問い合わせくださいませ。

Takeshi Sato
Takeshi Sato

株式会社mct
ストラテジスト

12 April

最近、テクノロジー関係者の間で注目のことばは「デザイン思考」である。
そんなことを読むと、デザイナーにとっては古い話題に聞こえるかもしれない。デザイン業界では、デザイン思考の考え方がかなり以前から知られていたからだ。

だが、現在のデザイン思考は当時デザイナーらが顧客のためにやっていたものとは少々異なったものになっている。それを象徴するのが、IBMが全社規模でデザイン思考を取り入れ始めたという事実だろう。
IBMはデザイン中心的な企業になるために、社内に大規模なデザイン組織を作ることを決定し、それに1億ドルの予算を割り当てている。2013年末にはデザイン・スタジオをテキサス州に作り、全社で1000人ものデザイナーを新たに採用することにした。
もちろんIBMはこれまでもハードウェア製品のデザインでは有名だ。また、すっきりしたサイトをデザインするということでも、デザインに意識的な企業というイメージはすでにあった。
だが、今回の転換は古いエンタープライズ・ビジネスをクラウド、モバイル、ソーシャル・メディア、AI(人工知能)、セキュリティーといった今日的なものに移行させ、こうした分野での成長を加速化するためにどうしてもデザイン思考が必要だとみなした結果だという。

これら分野での技術の発展や市場の変化は非常に速い。的確な製品やサービスを提供するために、顧客が必要とするものを身を寄せて感じ取り、プロトタイプを何度も作り直してテストするという、デザイン思考の方法論がその核になるというわけだ。同社では、デザイン思考のアプローチを行き渡らせるために、上はCEOから始まって上級レベルの重役、製品部門のマネージャーらまで訓練を受けたという。

IBMのデザイン思考は、顧客企業向けと同社のサービス開発の両方で使われている。
顧客向けでは、たとえばビデオゲームやエレクトロニクス製品の小売チェーンの店員のために、タブレット用の接客ソフトを開発した。その中では、客がこれまでどんなゲームをダウンロードしたか、どんな製品を買ったかといったことから、顧客データに基づいて、クーポンを提供したり下取りを提案したりができるようになっている。同社のサービスでは、クラウド・アプリケーション用の開発プラットフォームのブルーミックスを、この手法で1年という短期間で作り上げた。
IBMが採用するデザイン思考は、基本的にはユーザーへの共鳴、課題の特定、思索、そしてプロトタイプによるテストを繰り返すループであるという点は変わらないが、多くの拠点に散らばった大人数のチームのためのものとして独自の改良も加えられている。たとえば、多領域、多分野の専門家からなるチームを構成して複雑な問題に取り組む際に役に立つ3つの「キー」も考案している。

キーのひとつは「ヒル(丘)」で、これはデザインに留まらず、顧客やユーザーに感じられる具体的な結果に対して共通意識を持つことを意味する。2つめのキーは「プレイバック」で、これはデザイン思考の作業を共にしていない関係者も含めて、プロジェクトの進行を確認し合う機会のこと。3つめのキーは「ユーザーをスポンサーすること」で、これは実際のユーザーを招いてデザイン思考に参加してもらい、彼らにも観察する、思索する、プロトタイプを作るといったことをやってもらうことだ。そうして、彼らの目からデザイン思考を検証するためである。

IBMは、このデザイン思考のコンセプトをウェブサイトでも公開しており、そこで同社のきめ細かなアプローチも感じられる。たとえば、上記のユーザーをスポンサーして招いた場合、その人を所属の会社名で捉えるのではなく、あくまでもその会社で特定の仕事を行う個人として捉えることが重要だという注意書きまで加えている。デザイン思考では、抽象的な企業ではなく、生きた人間の生の経験こそが目を向けるべき対象だからだ。

そもそも、こうした方法論を公開していること自体に、IBMの変貌ぶりを感じないだろうか。「もはやビジネス戦略とユーザー・エクスペリエンスのデザインの間には、はっきりし区別がない」と、あるIBMの重役が語っているが、まさにデザイン思考はこちらと相手を同調させる方法でもあるのだ。

Noriko Takiguchi
Noriko Takiguchi

Back to Top